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代表コラム

06 13

投稿者: nakamura
2017/06/13 11:00

その昔、吉田松陰は、塾生の長所を瞬時に見抜き、頻繁に褒めていたそうです。
「美点凝視」を実践していたのかと思います。

「美点凝視」・・・・短所でなく長所に着目するさま(出所:Weblio類語辞書)

私が好きな言葉ですが、一方で、危険な面もあります。光と影、両面について考えてみたいと思います。

【美点凝視の重要性】

通常、他人の長所よりも短所が気になり、批判したくなることが多いのではないでしょうか。みなさん、いかがでしょう?
他人の長所を見抜き、それを認めることは簡単ではないと思います。

「正しい姿」と「実際の姿」を認識できれば、短所として認識し、批判することができます。
一方、長所の場合は、「正しい姿」と「実際の姿」に加え、「正しい姿になることの難しさ」や「他の一般的な人がどの程度の姿なのか」を知らなければ、長所として認識することはできません。

また、自分との関係が良くない人の長所を認めたくない、という自然な感情もあるでしょう。私にもそういう感情はあります。

しかし、どんな人にも短所だけでなく長所があるはずです。
その長所に気づかないのは、その人を良く知らないか、自分の観察眼や分析力がないだけなのではないでしょうか。
もし、気付いているのに認めないのであれは、それは残念ながら自分の器が小さいことを意味しているのではないでしょうか。

では、なぜ、他人の長所を認める必要があるのでしょうか?
それは、長所を認めることが信頼関係の構築につながるからです。

この信頼関係があるからこそ、対立的な論点でも率直に議論できるし、相手の成長につながる厳しい指摘が、相手に受け入れられるのです。
美点凝視に基づく信頼関係構築プロセスを怠ると、相手の成長につながる厳しい指摘は、単なる人格否定と勘違いされてしまうのだと思います。

弊社のMVVにおけるValues(価値観・行動指針)には、「尊重と美点凝視」があります。

多様な人材が集まるチームだからこそ、多様なお客様やアライアンスパートナーとお付き合いするからこそ、まずは、相手の長所を認め信頼関係を構築することが極めて重要なのです。

また、美点凝視には、信頼関係構築のほかにも、以下のようなメリットがあります。


【美点凝視のその他のメリット】

1:脳が活性化する

褒めた人にも褒められた人にもドーパミンが出て、脳が活性化し、認知症予防になるそうです。
さらに、異性に褒められることで美肌になるといった話もあります。

2:観察眼が鍛えられると、その分学べるようになる

長所を見つけようと努力する過程で観察眼を鍛えることができれば、より多くの人の長所、つまり、学ぶべきことに気付くことができるようになります。
部分的とはいえ、模範となる人物に出会い、学ぶことができる機会が増えるということです。

良いことばかりのようですが、美点凝視に基づく褒める行為も、行き過ぎると、本人のためにならない可能性があります。
その危険性について以下で触れてみたいと思います。


【美点凝視の留意点】

1:自信過剰な天狗にさせてしまうケースがある

長所を認め、褒めることにより、その人が自信過剰になってしまう可能性があると思います。

私は、事実の積み重ねがあり、自分が本当に評価すべきと思うことは、なるべく褒めるようにしていますが、こんな指摘を受けたことがありました。

「社長、彼を褒めすぎると、天狗になってしまいます」

なるほど、褒めたポイントが事実であり、私の本心であっても、そのトーンや頻度、さらに相手との関係性、性格次第では、自信過剰な状態を作り出してしまう危険性があるのかもしれません。

自信過剰な状態で、自分を過大評価してしまうと、必要な努力を怠り、周囲からの信頼も得られず、結果として成長できない可能性があります。

何事も、過ぎたるは及ばざるがごとし。

2:短所を無視すべきということではない


美点凝視で長所を褒めるべきと言っても、短所について見て見ぬふりをするべきではありません。それは、基本的にその人のためになりません。

短所の克服は、当然のことですが、直接成長につながることが多いと思います。
そのような短所であれば、本人が受け入れられるように伝えるべきです。できればその克服策を一緒に考え、その実行を支援すべきでしょう。

ただし、克服すべきではない短所もあります。

例えば、集中しすぎることや、独創的すぎること。

これは、自分の仕事や趣味などについて成果につながっている可能性もあるので、克服しようとすると、長所も同時に失くしてしまう可能性があります。
この場合には、短所の存在の自覚を促すことと同時に、長所を失わないような配慮が必要でしょう。

3:上から目線と感じさせる可能性がある

良かれと思って長所を褒めても、関係性次第では、上から目線で不愉快に思われる可能性があります。
そうならないよう相手との関係性に配慮しつつ、効果的な褒め方(具体的に褒める、第三者の言葉を使って褒める、相手の価値観に合わせて褒めるなど)をしたいものです。


【おわりに】

大事なことは、事実と本心に基づき、美点、長所を認め、的確かつ適時、適度に褒めることだと思います。

褒めることが相手の心理状態にどのような効果をもたらし、結果として、モチベーションの向上、ひいては中長期的な成長につながるのか、そこを判断基準にすべきなのではないでしょうか。

また、褒めることは自信につながります。この自信とプレッシャーのバランスを取ることが本人のパフォーマンス高めるはずなので、本人が現在持っている自信や
プレッシャーの大きさを把握しておくことも重要です。

自信とプレッシャーのバランスについては、こちらのコラム「余裕 ~自信とプレッシャーのバランス~」でまとめてありますので、よろしければご参照下さい。

読者の方の参考になれば大変幸いです。

中村 淳一郎

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