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代表コラム

10 05

投稿者: nakamura
2018/10/05 15:00

『違う声を強みに変えていく』

これは、先日の自民党総裁選について、小泉進次郎氏が投票後のインタビューで語った言葉です。

小泉進次郎氏ご本人の真意は分かりませんが、私はこの言葉に共感しました。

つまり、「一つのやり方にこだわるのではなく、共通目的の達成度向上のため、有用な知見を柔軟に取り入れ、より良いやり方を導き出す」という意味で解釈し、共感した次第です。

但し、何でもかんでも、他人の意見を取り入れるべきなのかというと、そうではないと思います。そんなことをしていたら何も決められません。推進力がなくなります。

私なりに、違う意見を主張する立場と、その違う意見を聴く立場、それぞれでどう考えるべきか、整理したいと思います。

<参考:総裁選後の取材時における小泉進次郎氏のコメント>

『私なりに、今回、どういう思いを、この1票に乗せるかということを考えた時に、日本のこれからの発展は、人と同じではなくて、人と違うという、この違いを強みに変えられるか。こういったことが大事で、だからこそ、自民党自身も違う意見を押さえつけるのではなくて、違う声を強みに変えていく。そんな自民党でなければならないと。そんな思いから、判断して、投票しました。』

(出所:小泉進次郎オフィシャルブログ掲載資料 http://www.shinjiro.info/20180920_burasagari.pdf



【違う意見を主張する立場において留意すべき5つのポイント】

1 . 組織としての「共通目的・目指す姿・価値基準」に照らして整合的かつ有用な意見を主張する

2 . 自己保身自己顕示、あるいは他者批判を目的とした意見は主張しない

3 . 理性を失った感情的な意見として受け取られないよう、感情的な表現は避ける

4 . 聴く側が前向きに理解できるよう、ポジティブな表現を使う

5 . 反対意見を主張する場合は、代替案を提示する

【違う意見を聴く立場において留意すべき5つのポイント】

1 . 組織としての「共通目的・目指す姿・価値基準」に照らして、「意見の採否」及び「意見の融合による価値創造」を考える

2 . 自分への批判か否かは無視する(感情バイアスを排除する)

3 . 違う意見を「新しい視点」として受け入れ、可能な限り、意見対立構造にしない

4 . 真剣に考え、時には勇気を絞って違う意見を伝えてくれた人に感謝の意を伝える

5 . 決定した内容とその理由を、組織としての「共通目的・目指す姿・価値基準」を使って関係者へ説明する

では次に、このような異なる意見を聴き強みに変えるスタンスの「メリット」と「デメリット」を考えてみましょう。



【異なる意見を強みに変えるスタンスのメリット】

1 . イノベーションを起こしやすくなる

異なる意見を取り入れ、シナジーを創出することで、イノベーションを起こしやすくなり、組織の強みが大きくなります。

ダイバーシティ(多様性を認め)インクルージョン(中に取り込んでいくこと)こそ、競争力の源泉です。弊社のバリュー(価値観・行動指針)の一つにある『専門性の追求と融合』も、この発想と通じます。

アクチュアリー・会計士・アナリスト・システムエンジニア・マーケッター・人事プロフェッショナルなど、様々な専門性から出てくる多様な意見が融合するシーンは、とても新鮮で魅力的です。

2 . エンゲージメントが高まる

例えば、従業員と会社の場合であれば、従業員と会社の「絆・愛着・やりがい」などを表す「従業員エンゲージメント」が高まるでしょう。

 

異なる意見を全て排除してしまえば、組織貢献への意欲ややりがいは減少するでしょう。

仮に、従業員エンゲージメントが高まれば、一般的に以下のような効果があるとされています。

人材確保(採用力強化・定着率向上)

生産性向上

③戦略実行力の向上

④顧客満足度の向上

まさに、「人手不足」と「働き方改革」という2大テーマの解決に寄与する可能性があります。

一方で、良いことばかりではありません。光あれば影あり。危険な面もあります。デメリットを考えてみましょう。



【異なる意見を強みに変えるスタンスのデメリット】

1 . ファシリテーションに失敗すれば意見対立を招くだけになり、何も決められなくなる

 

うまく組織の「共通目的・目指す姿・価値基準」に沿って、意見の融合を図り、より高い価値を生み出すような解決策を導くファシリテーション(合意形成)ができないと、対立が激化し、意思決定も遅れてしまいます。

組織参加者の意識が低い場合、例えば、異なる意見を言う人が、利己的で、いたずらに感情的あるいは攻撃的な主張をするメンバーである場合、敢えてその人の意見は無視するといった割り切りが必要になります。

 

そもそも、そういった人が大半を占める組織であるならば、最初から、完全トップダウンの方が良い結果をもたらす可能性が高いと思います。

2 . リーダーの責任意識を低下させる危険性がある

どのような意思決定であれ、リーダーは最終責任を全面的に負う必要があります。

仮に、自分とは異なる意見を意思決定に取り入れた結果、大失敗した場合も、責任はリーダーにあります。

「部下の意見を尊重したから失敗したので自分の責任ではない」というようなリーダーの責任意識低下が生じてしまう場合は、そもそもリーダー失格ですし、失敗する危険性も高いので、異なる意見を取り入れるスタンスも機能しないでしょう。

つまり、組織参加者とリーダーの意識レベルが低い場合、この『異なる意見を強みに変えるスタンス』は弊害をもたらす危険性が高いのです。

今の自民党、いや日本はどうなのでしょう?

あるいは、皆さんが所属する様々な組織はいかがでしょうか?

【おわりに】

最後に、耳を傾けることの重要性を説いた偉人2人の言葉を紹介しておきます。

人の話を聞くことで、人生の80%は成功する』(デール・カーネギー)

『過去のリーダーの仕事は「命じること」だが、未来のリーダーの仕事は「聞くこと」が重要になる』(ピーター・ドラッカー)

まず第1ステップとして聴く。そして第2ステップとして違う意見を取り入れ融合させるかは組織としての「共通目的・目指す姿・価値基準」に照らして判断すべきです。

当然、切り捨てられる意見も出てきますが、その際に、組織としての「共通目的・目指す姿・価値基準」をベースに判断していることを伝えれば、それらを浸透させる良い機会となるでしょう。


中村 淳一郎

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