IFRSにおける退職給付会計及びこれに関連するテーマについて「学ぶ」コーナーです。基本的な内容から実務に関する内容まで、幅広く学ぶことができます。
日本基準の改正動向の全体像
改正動向の概要
日本基準の設定主体であるASBJ(企業会計基準委員会)は、IFRSの設定主体であるIASB(国際会計基準審議会)とともに東京合意を公表し、IFRSと日本基準のコンバージェンスのスケジュールを明示しました。
この合意に基づき、退職給付会計に関する短期コンバージェンス項目として、割引率設定指標の取扱いの変更が審議され、「過去平均債券利回りによる割引率の設定を禁止する」という改正基準が2008年7月に公表されました。
また、現行のIFRSと日本基準との間の差異のうち、短期項目以外のものについては、基本的に中期項目として2011年6月末までに解消するというスケジュールになっています。
この中期項目に対応するものとして、ASBJにおける退職給付会計見直しプロジェクトのステップ1が進められ、その成果として、2010年3月18日に公開草案として、「退職給付に関する会計基準(案)」及び「退職給付に関する会計基準の適用指針(案)」が公表されました。
なお、2011年6月以降に適用となる新IFRSと日本基準の差異については、中長期項目として基本的に新IFRSの適用と概ね同じようなタイミングで差異を解消することになっています。
ASBJ退職給付会計見直しプロジェクト
本稿作成時点(2010年4月)においてIICパートナーズが収集した改正動向に関する情報をまとめたものであり、未確定情報も含んでおりますので御注意ください。一旦、合意された論点についても最終基準公表までは修正される可能性があります。プロジェクトの進行に応じ、本稿の改訂を行う予定となっております。
短期項目
【スケジュール】- 2008年7月最終基準公表、2010年3月最終基準施行
- B/S日時点の債券利回りによる割引率に一本化(過去平均利回りの使用禁止)
- B/S日時点の債券利回りによる割引率に一本化することを決定
中期及び中長期項目ステップ1
【スケジュール】- 2009年1月DP公表、2010年3月公開草案公表、2010年2H最終基準公表、2012年3月最終基準施行
- B/Sにおける未認識債務の即時認識
- 開示の拡充
- 期待運用収益率の見直し
- 期間帰属方法(期間配分方法)の見直し
- 割引率の見直し
- 昇給率の見直し
- 複数事業主制度の取扱いの見直し
- アセット・シーリング(資産計上制限規定)の取扱い
- 簡便法の見直し
- 退職給付信託の見直し
- 未認識債務をB/S純資産「その他の包括利益累計額」で即時認識することに変更(リサイクルあり⇒P/L純利益への影響なし)
- 開示項目を拡充(退職給付債務及び年金資産の期首から期末までの調整表、C/F情報など)
- 期待運用収益率の対象期間が「長期」であることを明確化
- 期間帰属方法について、「期間定額基準」と「給付算定式に従う方法」の選択適用方式へ変更
- 割引率について、「給付見込期間ごとの複数割引率」を原則とし、「給付見込期間と給付金額を加味した単一の加重平均割引率」を容認する取扱いへ変更
- 昇給率算定上、インフレ、ベア等の要因は「確実に見込まれるもの」に限定しない取扱いへ変更
- 複数事業主制度に関する取扱い(例外処理の範囲・年金資産按分基準)を変更
(その他、過去勤務費用は一括償却の場合のみ特別損益計上できることに変更)
- IAS19におけるアセット・シーリング(資産計上制限規定)を導入することを見送る
- 現行の簡便法を残す
- 退職給付信託は見直しの対象としない
中期及び中長期項目ステップ2
【スケジュール】- 2011年1H 論点整理公表、2011年2H 公開草案公表
- 重要性基準の見直し(コリドールの扱いを含む)
- 遅延認識(未認識項目)の見直しの再検討(包括利益計算書上の取扱い)
- 清算と縮小の会計処理と表示
- その他
- 未検討
これら本プロジェクトの全体像につきましては、以下のPDFにて表にまとめておりますのでご参照ください。



























