ストック・オプションについて、ストック・オプション制度の内容・メリット等から会計・税務・評価まで解説を行います。
株式報酬型ストック・オプション
役員退職慰労金の廃止
従来、取締役などの役員に対して退職金として支払われていた役員退職慰労金ですが株主からの批判により、近年役員退職慰労金を廃止し権利行使価格を1円とするストック・オプションいわゆる1円ストック・オプションを導入する企業が多くなってきています。
通常、ストック・オプションの権利行使価格は割当日に近い株価をベースにして決定されます。しかし、1円ストック・オプションは権利行使価格を1円としているために権利行使時の利益としては権利行使時の株式時価から1円を引いたものになり、ほぼ株式の時価ということになります。
さらに役員退任後の限定された期間のみ行使できるという条件を付帯することで、役員退職慰労金の代替として、また業績連動型報酬の1つとして活用されています。
導入メリット
従前より批判が多い役員退職慰労金を廃止し、業績連動型報酬にすることで企業価値を高めるインセンティブが働き株主からも理解を得やすくなります。
評価における留意点
権利行使価格が1円であることから、時間的価値がほとんどなく早期に権利行使を行うことが有利といえます。また、権利行使までの期間が長期化すると評価額が減少するという特長があります。
役員退職慰労金の代替である1円ストック・オプションには、役員退任後のみ権利行使可能な条件が付帯しています。ブラック・ショールズモデルを適用する場合、行使期間が長期に設定されており予想残存期間を長く見積ることで評価額を過小評価してしまう恐れがあります。従って、ブラック・ショールズモデルを適用して評価を行う場合は、予想残存期間の見積りが発行企業の実情と合わせて合理的であるかがポイントとなります。
一方、行使価格が1円で上記のような行使の条件が付帯されていないストック・オプションの場合は、行使可能になった時点で即行使されると仮定して評価することで過小評価の恐れがなくなります。
一般的なスキーム
・発行形態:公正発行
・取得に関する払込金額:有償(ただし、会社に対する債権と相殺する。)
・行使価格:1円
・行使期間:割当日の翌日~割当日の20年or30年後まで
・行使の条件:退職後の10日間に限り権利行使ができる。
以上のようなスキームであることが一般的になっています。また、税制非適格ストック・オプションかつ退職金の代替として付与されるため損金算入も可能なストック・オプションです。



























